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季節の便りをお届けします
多少ずれるのはご愛嬌。


2007.06.19

〈見上げる坊主〉

 降っちゃったものは仕方ない。
 鈍色の空から数限りなく伸びてくる灰色の矢を見つめながら、坊主は思う。
 自分ひとりの力では、どうにもならないこともある。
 それでも、きのう期待をこめて僕を見つめてたあのこの瞳を思い出せば、ちり紙でできた心もしめって重たくなってくる。
 あのこは目覚めて窓を開け、
僕のせいだと怒るだろうか、僕でもダメだとなげくだろうか。
 じっと見上げてると、自分がすごい勢いでまっすぐ昇ってく気がする。昇った先に待っているのはきっと、ついこの間までいた世界なんだろう。
 水性マジック製の眼が、雨に当たって少し滲んだ。

〈画/1997年頃、文/2007年6月〉



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