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2007.02.09

〈薄着自慢〉

 子供には子供のダンディズムがきっとある。
 僕らの場合、それは冬の薄着であったと思う。冬の間中どれだけ半ズボンで通すことができるか、毎年いつのまにか気がつくとそんな競争が始まっていたのだ。
 そのため風邪など引いて親にジャージを強制されたときなど、理不尽で屈辱的な気分になったものだ。
 ダンディズムの中身は結局やせ我慢ということになるのかもしれないが、それにもほどというものがある。半袖半ズボンで通そうとするような、行き過ぎた奴はかえって周りから馬鹿にされ尊敬を集めなかった。
 ともあれそのころの僕たちは大同小異皆カサカサの太ももを冬空にさらして表を走り回っていた。

 そんな僕らの「半ズボン同盟」も、ジャージ姿で現れた転校生の登場で、いつのまにやら立ち消えとなってしまった。平気な顔して長ズボンでいる彼を見ていると、無理をしている自分らがばかばかしく思えてきたのだ。

 後になって半ズボンの下に毛糸のパンツをはいていたことを白状した奴がいたが、しばらくみんなから裏切り者扱いされていた。

(初出/「都政新報」1997年1月24日号)



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