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季節の便りをお届けします
多少ずれるのはご愛嬌。


2007.01.29

〈雪待ち〉

 雪の朝 外に出る
 チッソクした地面に風穴を開け
 ぼくは歩く
 靴跡を避ければ河原へ出る
 先客は鳥
 そして歩幅の広い犬
 犬、走ったか
 ニクキュウ、湯気ふいたか
 この地に踏み出す人類の
 はじめの一歩で ぼくはすべった

 気がつけばどこを向いても、何をしようにも先人の足跡ばかりの世代に生まれていた。
 いままで僕が踏んだ地面の中に、人類が1度も足を乗せていない場所などあっただろうか。
 遥かへ飛び立つ冒険家になれない以上、僕は今日も見慣れた地面の隙間を探し、もがく。
 雪は、そんな僕に確かな足跡をくれる。たとえだれかが踏んだ上でも、僕もちゃんと地面に立っていることを教えてくれる。ただその確認がしたくて、僕は今夜も雪を待つ。

(初出/「都政新報」1998年3月10日号)



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