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季節の便りをお届けします
多少ずれるのはご愛嬌。


2006.06.01

〈かえる橋〉

 季節とともに思い出す手触りがいくつかある。
 その日、僕たち兄弟は沼地に渡された橋の上を走っていた。末っ子でしかも負けず嫌いだった僕は、兄に追いつこうと必死だった。
橋は幅狭く、子どもにとっては十分に高い。なるべく橋の上だけを見ようとしていた僕だったが、脇にかしこまる「トノサマ」と目があったのがまずかった。
 その時の、半ズボンの隙間から入り込んできた泥の感触は、目の前で歯のない口を開けて笑うトノサマの顔とともに鮮明に憶えている。
 それ以来、今でもカエルには一方的に含むものがある。もっとも出逢ったところで先に僕の方が逃げるので迷惑はかけてない。
 (初出「都政新報」1997年6月24日号)



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