このところのこと(地上げと介護と父の永眠)

もろもろひと段落ついてきたので、このところのことについてお話しします。
仕事以外のことになります。
2023年の秋、『きりえや偽本図書館』を出してから、いろんなことがありました。
ぼくら夫婦が長らく暮らしていたおんぼろマンションに、ある日突然聞いたこともない建設会社を名乗る連中が現れ、取り壊し&立ち退き騒動が勃発しました。
〈転居の手伝いはするが立ち退き料はなし、(こちらの契約期間内だったにもかかわらず)3ヶ月以内に出てってほしい〉など、あまりに無法な物言いに、他の部屋の方々と組んで弁護士先生を頼り、地上げ屋みたいな業者&その業者にたらしこまれた大家さんと望まずながらやり合うことになりました。
生存権を他人に平然と蹂躙される恐怖。作戦会議を繰り返すたび明らかになる、仲間となったご近所さんそれぞれが抱える事情(と濃いキャラ)。打ち手のちょっとしたミスで交渉内容や額が変わってしまう、詰将棋のような油断ならない展開、、とぼくが小説家やエッセイストならば本一冊書けるような濃い体験でしたが、ホラ吹き以外のことについては元来言葉が遅いため、もし作品などの形で結晶化するにしてもきっと時間が必要です。
一方、2022年からはじめた四国の実家への介護帰省も、両親の老いの側面に合わせ様々な変化がありました。
ケアマネさん、ヘルパーさんに助けてもらいながら父を説得し母をホームに入れた後も、その時どきの手続きや、ひとり暮らしになった父のサポートのため度々家に戻り、ごはんを作ったり話を聞いたりしてました。
特に昨年一年間は、「子どもの成長は驚くほど早い」のちょうど真逆を行く父の変化にずっと翻弄され、緊張し続けてたように思います。
ごはん作ること以外(笑)、ぼくにとってはどれもこれも慣れないことばかりで、ずっと目を回していた感じです。
立ち退き案件は、我が家に関してはおおむね解決したため、昨年末に引っ越し今は新居で暮らしています。
入ってもらった弁護士先生のおかげもあって、踏み潰されずに済みました。
昨年中に跡形もなくなるはずだったマンションは、まだ越してない方がいるので、いまも変わらず立ったままです。
新しい住処は快適で気に入ってます。きっかけは最悪だったものの、だいぶものを捨てて身軽にもなれたことだし、暮らしを変えるいいタイミングだったと思うようにしています。
秋に入院、年末に体調を崩した父は、年明けてからすぐになくなりました。
12月頭からすでに「あぶない」って言われてたんだけれど、こちらの引っ越しが終わり、会いに行くまでどうやら待ってくれてたみたいです。
最後に「満足だ」って言っていたから、介護帰省を始める際自分で決めた「夢見が悪くならないように」という目的は、どうにか達成できました。
それもこれも、妻はじめいろんな人の協力あったればこそで、大変感謝しています。
なくなったらなくなったで、その後の手続がいろいろあったり、ほかについてもまだ完全に解決したわけではありません。
けれども最近になってようやくすこしづつ、自分のことと向き合える心地になってきた、ように感じます。
教室の活動を除けば「つくるひと」としては少し足踏みしていたような、このところのきりえやでした。
これからまた、よちよち歩きからでも皆さんに楽しんでもらえるような試みをしていこうと考えています。
今の自分が楽しいと思えることに、目と手や心を向けていきたいです。
そのためにまず、
・営業ツールを兼ねたホームページの改装
・場所代値上げに耐えきれず昨年引っ越したものの、カレンダー販売以外放置状態になっている、オンラインショップへの商品棚出し。
など、停滞していた身近なプラットホームを整理し、風通しをよくするところから始めてみたいと思います。
これからもまだ、作り続けてまいりますので応援よろしくおねがいします。
2025.5.19
きりえや高木亮
高木様
突然のご連絡をお許しください。
お父様は茂さんでいらっしゃいますよね。驚きと共に、まだ信じられない気持ちでおります。
お母様はホームでお過ごしとのことですが、ご様子はいかがでしょうか。お二人でいつも活動的に過ごされ、私たちを温かく導いてくださったことに、心から感謝しております。
2022年から介護のためご帰省されていたとのことですが、少し詳しく状況をメールででもお聞かせいただけると幸いです。
深く哀悼の意を表します。
古谷様
ご無沙汰をしております。
メッセージありがとうございます。
父・茂もきっと喜ぶことと思います。
詳しいことにつきましては後ほどメールにてご連絡差し上げます。
何日かお時間をください。
よろしくお願いいたします。